新作ヴィオラ販売、工房製という購入の選択肢をご存じでしょうか

2023/01/27
イタリア在住韓国人製作家 新作ヴィオラ

イタリア パルマ Scrollavezza&Zanre工房製 イタリア新作ヴィオラ販売

韓国人製作家 Shin-Hyuk Kwon 2021 (405mm G.B.Gudagnini Model)のご紹介

Scrollavezza&Zanre工房作新作ヴィオラ

Sold

 

このヴィオラは「Scrollavezza&Zanre工房製」と記載しています。そうです、このヴィオラの製作家である韓国人Shin-Hyuk Kwon前回のブログでご紹介していますヴァイオリンの製作者Andrea Zanre の下で製作を学んでいる人物なのです。


通常この弦楽器製作の世界では、弟子が作った楽器も親方作として親方本人の名前で出されることが多いのですが、稀に本人作と弟子作(工房作、ワークショップ、ボッテーガなどと呼ばれることもあります)を分けて販売する工房もあります。

 

弟子が作ろうと、親方の名前、親方のラベルで本人作として出せば、もちろん本人作として高い価格で売ることができます。弟子作、工房作とするとだいたい本人作の半分くらいの価格に設定されることが多いでしょう。

 

先ほど稀だと申し上げたのは、弟子が作ろうと親方の下で作ったものであれば、本人作として高く売ることができるわけですので、それをわざわざ弟子作として安く売る人は少ないということなのです。

 

この楽器は弟子作、いわゆる工房作のクォリティとは到底思えない、実に味のある、そして豊かな響き、柔らかな低音を奏でてくれます。その秘密を探るべく考えたてみると、この楽器は多くのイタリア新作楽器と比べると、板が薄めで重量がかなり軽いことに気づきます。しかし、板が薄い、そして軽い材料を使用した楽器の欠点、嫌みが全く出ていないのです。軽い材料は、密度の薄い、スカスカの木材であることも少なくなく、材質的にも柔らかく、製作された楽器も低音が柔らかく響くことが多いように思います。反面、強く弾いた時に音が前に出ない、高い音域になると音の伸びが不足するなどの欠点も現れます。

 

ところが、この楽器の場合、軽い材料を使用した楽器の欠点、嫌みが無いのは何故なのか?ここからは推測ですが、前回のブログで申し上げた「軽いが強い材料」というキーワードがまたしても浮かび上がってくるのです。 柔らかな深みのあるC線(低弦)しかし、スカスカでない密度のある芯のある音。強く弾いた時の音の伸び、抜けの良さなど、普通なら相反する要素を満たす秘密は、その材料の選択にあるのでは?という前回Zanreのヴァイオリンのときの推測、それがそのままこの韓国人製作家Shin-Hyuk Kwonの作ったヴィオラにもあてはまるのではないかと私は考えるのです。 同じ工房で、同じ人間に製作を指導されていれば、当然同じ傾向の材料を選択してもおかしくありません。

 

ヴィオラはヴァイオリンやチェロと違って、大きさもまちまち。そもそも音域をカバーするために必要となる理想的な大きさからは外れてしまっています。それは顎に挟んで弾かなければならないので、大きさには限界があるのです。それでもできるだけ大きい方、容積が大きい方が良いのではないかとボディサイズを長くしたり、横幅を大きくしてみたり、横板を高くしてみたりと、作る側は色々工夫してみたりします。言ってみれば何でもありなのがヴィオラなのです。ただ、弾く側からすると身体的な制限がありますから、どんな大きさ、形でも大丈夫というわけにはいきません。無理をして大きな楽器を弾いたばかりに腰や首を痛めたり、腱鞘炎になったりしてしまったらいくら良い音がしたとしても、演奏するどころではなくなってしまうでしょう。

 

 今回ご紹介しますヴィオラは405mmと小さすぎるわけではなく、そう大きすぎないちょうど良いサイズです。また、形(パターン)も極端に幅を広く取ったり、横板を高くしたりはしていません。この大きさ、形で、豊かな低音、そして芯のある伸びのある音、そして工房作であるが故の価格面でのお得さもあります。

 

是非皆様にお試しいただき、このヴィオラの素晴らしい音を味わっていただきたいと思います。