中国製ヴィオラの傑作。透明感のあるニス。裏板は杢のとても綺麗な一枚板です

2019/01/31
裏板の美しい中国製ヴィオラ

技術と材料。両者持てる最高レベルのものを結集させた究極とも言える中国製ヴィオラの販売情報です

 

裏板はとても杢の綺麗な一枚板。中国製ヴィオラの最高峰とも言えるこの楽器。
イタリア新作をも凌駕する美しさとその性能、音色を是非お試しになられてみてください。

 

Sheng Zhong Long 2001 Beijing (40.0㎝)  Sold

 

 

中国製ヴィオラの製作精度の高さこの楽器は2001年製のものなのですが、弾かれていたものでないばかりか、駒を立てて弦を張ることさえもされていませんでした。倉庫に数年眠っていたとのことなので。

 

でも、この楽器を見たとき、よくぞ見つかった、見つけてくれたと私は本当に有難く思いました。

 

実は、中国製で20年近く前の製作であるということが、この楽器の重要なミソなのです。

 

中国では、杢のはっきり出た裏板の材料がたくさん取れた時期がありました。
そのころの楽器というのは、バイオリンはもちろんのこと、材料の量、大きさがバイオリンよりもはるかに必要なチェロに至るまで、ギラギラした杢、虎杢がはっきり出た楽器がかなり作られました。

 

実際にチェロで杢がギラギラした楽器を目の当たりにしますと、本当に迫力が感じられたものです。

 

そして、20年前の中国はニスの仕上げが現在のようなアンティークフィニッシュ、オールド仕上げ一辺倒ではなく、どちらかというと、イタリア新作のような透明感のある単色仕上げのニスが多くみられました。

 

つまり、20年ほど前の中国製の楽器は、はっきりした杢の裏板材と透明感のあるニスによって、杢の美しさを際立たせたものが少なくなかったのです。

 

最近はイタリア新作でさえ、裏板のニスの仕上げのやり方なのか、杢を黒く濃く見せる手法が流行っているようです。そうすると杢の立体感がまるで無くなってしまい、角度を変えて見たり、裏板を動かしてみても、杢が全く動いて見えません。

 

はっきりした杢を持った材料、そして透明感のあるニスで仕上げられると、裏板の杢は目線の角度によってうごめくように表情を変え、まさに妖しい雰囲気を持っているのですが、杢を着色したり、薬品処理をしてしまったりすると見え方が平面的になってしまい、まるで量産品のようなつまらないものとなってしまいます。

 

最近のイタリア新作のいくつかは、そのように見える裏板もあり、イタリアでさえ、20年、30年前の仕上げの美しさ、杢を美しくみせる手法を失ってきているのかもしれません。

 

昨今の中国製の楽器はおそらくアメリカ市場を意識してのことだと思いますが、アンティークフィニッシュ、オールド仕上げが主流になり、そして杢のはっきり出た裏板材も、その時期に無計画に取り過ぎてしまって、今やかつてのような材料は見られなくなってしまったのです。

 

ですから、ある意味、今回ご紹介するヴィオラは中国製の楽器が材料(杢の見た目)、技術(ニスの仕上げ)の点でひとつのピークを迎えた時期のものであり、今後はこのような楽器が中国で製作される可能性が極めて低いと考えられますので、大変貴重なものであると思うのです。

 

もちろん、ニスや杢の美しさだけではなく、製作精度も20年前にすでに高いレベルにありました。ですから、音も大変力強く、やや薄く作られた低価格の中国製楽器とは一線を画します。しかしながら、弾かれていなかったとはいえ、20年近く経ったせいもあるのでしょう、イタリア新作のような「良く鳴るんだけれど明るすぎてちょっとヴィオラらしくないなあ」というようは不満はありません。それは低弦(C線、D線)がかなりしっかりと力強く鳴るからです。

 

イタリア新作ヴィオラは値段が高過ぎる。価格の割にたいして鳴らない。音が軽すぎてバイオリンみたいだ。そのようなご不満をお持ちの方、ぜひ、このヴィオラをお試しいただきたいと思います。

 

 

裏板の杢の美しい中国製ヴィオラ