イタリア在住 若き日本人製作家 Rei Otsuki (大月 玲)製作 2018年が入荷しました
オイルニス仕上げ Stradivari 1716 Model
日本のバイオリン製作学校を卒業後、現在はイタリア、ミラノの製作学校でさらに研鑽中ということで、まだ年齢も若いのですが、製作するバイオリンはすでにかなりのレベルに達しているのではと、この楽器を見てすぐに私は感じました。
日本人の若手の製作者、卒業したての製作者のバイオリンはこれまでにも何台も見ていますが、いわゆる習作といったレベルのものが大半で、まじめに作っているけれども、どこかびくびくして作っている、間違ったことはしてはいけないという気持ちで作っているものがほとんどです。
要するに、自分でこういうバイオリンを作りたいとか、こういう音を目指そうというビジョンがなく、ただ、教科書通り、習った通りに、しかも先に書きましたように、間違ってはいけないとこわごわ作っているので、伸びやかさが無い、バイオリンとしての魅力が感じられないものになってしまうのです。
しかし、それは製作台数、経験が少なければある程度はいたしかたないこととは言えるでしょう。その段階から、いかに伝統にのっとりながら、自分らしいバイオリンを作っていけるか、生き生きとした、のびのびとしたバイオリンを作っていけるかそれが勝負の分かれ目となるのではないでしょうか。
この大月さんのバイオリンは、その段階ははるかに超え、バイオリンとしての魅力を持つものにすでに近づいてしまっているように思います。
スクロールの精緻さペグボックスの内側の仕上げを見れば、、その他木工技術の正確さ、そして本人の几帳面さは明らかですが、不思議と楽器が無機的な冷たい雰囲気にはなっていません。
往々にして、製作技術が高いと、高級な量産品、機械生産のようなバイオリンになってしまい、人間味の無い、一見するとつまらない楽器に見えてしまうことがあるのですが、なぜか、この大月さんの楽器はそうはなっていません。
おそらく、センスの良いコーナーの仕上げ方であったり、表面をツルツルに磨きあげずに微妙な凹凸を残した、表板や裏板のニスの仕上げ方に、工作精度が極めて高いにもかかわらず、このバイオリンが人間らしさ、温か味を残している理由があるのではないかと私は見ています。
そして、その特徴は音にも現れていて、非常に物理特性、振動特性の良い鳴り方ながら、どこか優しさ、柔らかさがあるように感じられます。
新作というと、イタリア新作にあるような、どこか弾いていて嫌な感じが残る、一週間も弾いていると疲れてしまうバイオリンが多いのですが、この大月さんのバイオリンはそのようなことはありません。
このバイオリンの想像以上の素晴らしさは、実際に手に取って眺め、そして実際に音を出されて初めてわかるもの。
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