それでもモダンイタリーバイオリン買いますか?ハンガリー製モダンバイオリンのご案内

2018/04/20
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ハンガリー製 モダンバイオリン  Theresia Toth 1920 (Budapest )のご案内です

 

歴史的にみても、ハンガリーやチェコ、いわゆる東欧圏と呼ばれている国々は、名バイオリニスト、名教育者を何人も輩出してきている弦楽器大国であることは、すでに以前の記事でもお伝えしています。ですから当然、優秀なバイオリン職人たちがかなりそれらの国にはいたと想像されます。

 

それが、ある時期がきて量産化の波に飲まれると、ドイツ、チェコ、ハンガリーなどのバイオリンはどちらかというと量産品の国、安物のバイオリンづくりの国という見られ方をするようになり、そのイメージは現在にも強く残ってしまいました。

 

もちろん、現代それらの国でも完全な手工品のバイオリンも作られてはいます。ただ、イタリア、クレモナの復興と共に、新作イタリアンが世界を席巻し、非イタリアの新作バイオリンは片隅においやられてしまった感があります。
そして、それは特に日本でその傾向がより強いように思います。

 

さて、そもそも良いバイオリンかどうかはどうやって決まるかということですが。

 

実はその答え、良いバイオリン、名器の正解はすでに1700年代、ストラディヴァリやデル・ジェスそしてそれに続く、名工たちによって確立されてしまっているのです。

 

なぜなら、この300年間バイオリンの姿は全くと言って良いほど、変わっていないからです。

 

一方、ピアノや木管楽器、金管楽器は100年、200年の間にどんどん改良され、昔と今では姿が随分と違ってしまっています。

 

変わっていないというと消極的ですが、変わる必要、改良の必要がなかった、すなわち200年、300年前にバイオリンは完成しつくされていたのです。

 

それがいわゆるクレモナ黄金期、アマティ、ストラディヴァリ、グァルネリ・デル・ジェスという三大名器が生まれた時期なのです。

 

その後は、それらのバイオリンに直接触れることがあった職人や指導者によって、良い楽器、名器とはどういうつくりのものなのかという生きた証言が弟子たちに伝承され、まずはクレモナ以外のイタリア国内に、そしてイタリア以外の国にも徐々に伝播していったのです。

 

ですから、イタリア以外にもイタリアの名器を踏襲する、それを彷彿とさせるバイオリンが作られることになったのです。

 

ただし、そこには正しいインプット(名器の分析、どこまで知り得ているか)と、正しいアウトプット(製作技術)が伴わなければ、それらの名器を彷彿とさせる楽器の実現はできません。

 

逆に言えば、イタリア人であっても、名器に触れたこともない、名器を良く知る指導者(親方)に習ったこともない職人が、想像や思い込みでバイオリンを作っていたのでは、偶然でもない限りは良いバイオリンは産み出されません。

 

また、いくら名器を脇に置き、修理のために表板をはずして、つらつらその一部始終を眺め、なでまわすことができる環境にあったとしても、製作技術が未熟であったら、傍らの名器を忠実に再現することなどできないでしょう。

 

ですから、製作者がイタリア人であるとか、イタリアで作るということは、ストラディヴァリ以降は大きな問題ではなく、いかに名器を知り、それを再現する技術を持っているかだけが重要になるのです。

 

イタリア製、イタリア人だから、全てのモダンバイオリンが優れているわけではありません。
確かに、一流製作家のバイオリンは名器を彷彿とさせるものがあります。しかしそれは少数です。
大多数の二流、三流製作家のバイオリンは同じイタリア製とはいえ、そこからかなり隔たったつくりのものばかりだと思います。

 

しかしながら、どんなに下手くそな製作者、ひどいつくりのバイオリンであっても、イタリアと名が付き、年代がモダンだということになれば、かなりの値段にはなってしまいます。それだけは確実な話です。

 

くれぐれも、イタリアである、価格が高いということで安心してバイオリンを購入されないようにしてください。
それよりもはるかにリーズナブルなお値段で優れたバイオリンが、イタリア製ではないということだけで、購入していただけるのですから。