バイオリン 松脂のつけ過ぎ、ぬり過ぎにはご用心・白い粉が吹いたら危険信号

2018/02/14
松脂が表板にこびりついたバイオリン

白い粉が飛んでいませんか?バイオリン、ヴィオラ、チェロ 松脂のつけ過ぎ、ぬり過ぎには充分注意しましょう

 

以前のブログ記事、バイオリンを弾いても音が出ないとき で新品の弓、毛替え後の弓の場合についての松脂のぬり方についてお話しました。要するに、馬の毛が新しい状態で、松脂が全くついていないときは、かなり念入りに松脂をつけないと弓毛に松脂が行き渡らない。そうしないと全く音が出なかったり、出ても音量が不足するということをお伝えしました。

 

しかし、いつもいつも、練習の前にこのような松脂のぬり方をしていたのでは、それは松脂の付け過ぎということになります。

 

松脂は先に書きましたように、ある程度は弓毛についていないと、楽器が充分な音量が出せないのですが、ぬり過ぎ、つけ過ぎは今度は雑音の原因になってしまいます。

 

そして、飛び散った松脂の粉を放置しておきますと、それが粉から元の固形状に戻ってしまいますので、弦の上に付着した松脂は平滑な弦の表面をざらざらな状態にしてしまい、音がガサつく原因となります。

 

また、松脂の粉を楽器に付着したまま放置しますと、それが指板や表板に付着して、簡単には取り除けなくなってしまいます。

 

まずは、弾いているとき、弾き終わったときに、弦の上に白く松脂がこびりついたまま残っていたり、弦の下、指板と駒の間やf字孔付近に白い松脂の粉が飛び散っているようでしたら、それはすなわち松脂のつけ過ぎだと言えます。白い粉が吹いたらアウトですよ。

 

松脂をつけ過ぎてしまった場合はもちろんのこと、そうでなくても、付着した松脂は弦、表板、指板など、松脂が白い粉の状態のうちに、速やかに拭き取ることが重要です。
また、弓毛とスティックの間も同様に拭き取るようにしてください。

 

もし、それを怠りますと、先に申し上げたように、音のざらつき、雑音の原因となりますし、楽器に付着した松脂が拭き取りにくくなってしまい、工房にクリーニングを依頼しなければならなくなってしまいます。

 

特に、気温が高くなりますと、松脂の性質上、粉から個体に戻る速度が早くなりますので、特に夏場は、松脂のつけ過ぎや、楽器のおそうじに、より気を使うようにしてください。

 

ご紹介する動画は、アイザック・スターン の演奏ですが、松脂をつけ過ぎたのか、あまり丁寧にお掃除をしていないのか、指板の方まで松脂が飛んで、すでにこびりついているのでは?と思える状態です。巨匠、名演奏家でもお手入れをあまりしないのでしょうか?これでは名器がかわいそうですね。