バイオリンのE線、音がひっくり返ったり、裏返ってしまって困ったことはありませんか

2019/02/16
バイオリン弦 Warchal Amber

バイオリン演奏中に頻繁にE線がひっくり返ったり、裏返ってしまって困ったことはありませんか?

 

この現象は特に重音を弾いたときに特に起こりやすいように思います。
例えばバッハの無伴奏ソナタやパルティータの緩徐楽章などは重音が多いですが、E線だけ「ヒー」という感じで、ひっくり返る、裏返る現象が頻発して困ったという経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

 

この現象は予想もつかないときに起こり、弾いている間にはそのひっくり返った音、裏返った音は戻ることはありません。

 

ですから、いったん音がひっくり返ってしまうと、音程のようには弾いている途中では修正できず、ずっと「ヒー」と裏返ってしまっているので非常にやっかいなのです。

 

原因としてはいくつか考えられるのですが、経験上私は金メッキ線のような、メッキを施した弦に頻発するように思います。
つまり、弦の表面が平滑で、つるつるしているために弓毛がすべってしまって、しっかり音を鳴らすことができずに、ハーモニックス(フラジオレット)のような音になってしまうのではないかと考えています。

 

そうなると、松脂の種類、弓毛の状態なども影響してくる可能性も高いかと思いますし、湿度の影響もあるかもしれません。

 

それより何より、弓毛が弦にあたる角度、つまり弾き方が大きく影響してくるものと思われます。

 

重音を弾くときは当たり前ですが弓の毛は最後にE線に当たります。重音を弾く時はいくつもの弦を鳴らすために、弾いている途中で弓の角度を変化させなくて鳴らせません。

そうすると、E線だけ1本弾くときに比べるとどうしてもE線への弓毛の当たり方、角度が最適な角度に保ちにくく、安定しなくなります。また、重音を弾く時の弓のスピードは概して速いので、最後に弓毛が当たることになるE線はより密着度が低い、つまりすべりやすくなるのではないでしょうか。

 

それで、何とかひっくり返りにくいE線、裏返りにくいE線というものは無いものだろうかと皆さん探されたことかと思います。

 

先に申しましたように、もし金メッキ線のようなメッキした弦をお使いの場合は、まずはそれを使うのをやめてみることをお薦めします。確かにメッキをしていない弦は、錆びやすいという欠点はありますが、音の安定には変えられないでしょう。

 

本日ご紹介する弦、WARCHALのAmberという弦は、それでもなかなか改善しない、上手くいかないという方へ、ひょとしたら改善するかもしれませんよというご提案になります。

ひょっとしたら、と申しますのは、このひっくり返る現象、裏返る現象は、先に述べたように思いもかけないとき、つまりいつ発生するか予測することが難しいので、再現性が難しく、したがって、それが完全に改善したかどうかという判断もつきにくいからです。

 

弦だけで完全に解決できる問題ではなく、弓毛、松脂、奏法。もちろん弓自体も影響があるかもしれません。それらを総合的に考え合わせて改善する方向へ持っていっていただければと思います。

 

Warchal Amber E線の形状

 

バイオリンに弦を張ったところ

 

別に新製品というわけではございませんので、すでにご存じの方、お試しになられた方もいらっしゃると思いますが、もしこの現象でお悩みで、まだこの弦の存在を知らない方は、試される価値はあるのではないでしょうか。
ただ、あまりのユニークな形状に、パッケージを出した時に度肝を抜かれないように、この動画を作成してみました。