2019年のストラドカレンダーはストラディヴァリウスを特集しています。今年のカレンダーは特に資料的価値が高いですね

2019/01/30
ストラディヴァリの製作風景

2019年のストラドカレンダーはストラディヴァリウスを特集しています。今年のカレンダーは特に資料的価値が高いですね

 

英国ストラド誌、Thestrad が作成するカレンダーは、毎年何らかのテーマを持ってまとめられています。
今年のテーマはストラディヴァリが特集。そして、その掲載楽器というのが昨年10月に東京、六本木 森アーツセンターギャラリーで開催された、ストラディヴァリウス300年目のキセキ展に展示された楽器のうちの12台なのです。そういうわけで、例年にも増して今回のカレンダーは資料的価値が高いものではないかと私は考えます。

 

と申しますのも、会場内で販売されていたカタログ(写真集)はかなり立派なものでしたが、お値段の方も35,000円と立派なお値段でした。そのうえ、カード決済は不可で現金でしか購入できないということで、買いたくても現金の持ち合わせがなく、泣く泣く購入を見送られた方もいらっしゃったのではないでしょうか。

 

この手のものは、限定部数だけしか発行しないのが通例。聞くところによりますと、会場で全部売り切れたそうです。

 

35,000円は持ち合わせがないという方でも、ポストカードは購入された方は多数いらっしゃったかもしれません。こちらは写真集の10分の1程度のお値段だったので。

 

しかしながら、このポストカード、サイズも小さいということもありますが、それ以上にレイアウトが懲りすぎていて、楽器のディテールはほとんど伝わってきません。

せっかく、出品楽器全部をポストカードにしているのに、楽器を鑑賞するという上ではちょっと残念な感じが強くいたします。

 

そういったなかで、このカレンダーは、12か月ということで展示楽器の中の12台しか載せられませんが、サイズはポストカードよりもかなり大きいですし、レイアウトもスクロールや横からのショットは無いまでも、楽器の表、裏は完全に見ることができますので、ポストカードに比べるとはるかに鑑賞には適するというものだと思います。

 

それにしても、このカレンダーを眺めながら、昨年の展示会のことがまざまざと脳裏に甦ってきたのですが、今思い出してみますと、本当に歴史的なイベントだったと痛感いたします。
確かストラディヴァリ生誕250年のときに、イタリア クレモナでストラディヴァリを集めた展示会が開かれたと聞きますが、今回のような大規模な展示会はそれ以来のことで、しかもアジアでは初めてのストラディヴァリの展示会ということです。その歴史的なイベントを身近に体験できたこと、実行委員長の中澤創太氏のご苦労、ご尽力には、ただただ頭が下がります。素晴らしい展示会を有難うございました。そして、2019年はこのストラドカレンダーをめくりながら、またあの展示会を改めて振り返っていこうと思います。