市民オーケストラ、サークル活動、部活でバイオリン等弦楽器を演奏されている方にも一読をおすすめします

2018/05/08
近藤高顯 ティンパニストかく語りき

近藤高顯 ティンパニストかく語りき   近藤 高顯 著
叩き上げオーケストラ人生

 

 

バイオリン屋、弦楽器専門店なのに何故ティンパニー奏者、打楽器奏者の本を紹介するのか?
弦楽器、バイオリンの本の紹介ではないじゃないか?

 

おそらく皆さんそう思われたに違いありません。

 

私自身も、打楽器奏者の本であることは明明白白なので、内容に期待していたわけではないのですが、題名、副題が面白かったので、つい手に取って中身を見てみたくなったわけです。

 

横浜や東京は市民オーケストラ、アマチュアオーケストラがかなり多い地域だと思います。また横浜、東京の首都圏でなくても、大学にはかなりの確率でオーケストラサークルがあったり、中学、高校に管弦楽部があるところも全国にかなりの数があるのではないでしょうか。
そういう意味では、弦楽器奏者であっても、好むと好まざるとに関わらず、ティンパニ奏者、打楽器奏者と演奏では必ず関わらなくてはならないでしょう。そしてその演奏内容が演奏会を成功に導いたり、はたまたぶち壊しに終わってしまうことがありがちなことも良くご存じなのではないでしょうか。

 

ファーストバイオリンなどの音符に比べたらはるかに音符の数が少ない打楽器奏者。曲によってはシンバル一発、ドラ一発しか叩かないというような奏者もいるかもしれません。
しかし、彼らはその一発にどれだけの思いで臨んでいるのか、ティンパニ奏者は指揮者を見てどのようにテンポを決めているのか等々
打楽器奏者、ティンパニ奏者は音数が少ないからこそ、自分たちがテンポを任されているからこその苦労、悩みがまたあるのです。


この本はその打楽器奏者、ティンパニストの側から見たオーケストラ苦労話が満載で、もちろん、打楽器奏者が読まれたらすごく面白いのだろうと思いますが、先のように市民オケや部活、サークルでバイオリン等弦楽器を演奏している方々にとっても、なるほどそうだったのかと興味深く読めると思います。


内容は

 

・ドイツ留学記

 

・ティンパニーの音色、ヘッドと呼ばれる太鼓の皮の張り替えやその材質

 

・ドイツの名ティンパニスト、名打楽器奏者たちの思い出

 

・名指揮者たちとの思い出

 

・エキストラで出演したオーケストラとの思い出

 

・名指揮者たちとの思い出

 

などなど。

ティンパニストにとっては当たり前なのでしょうが、バイオリンの弦と同様、ヘッド(皮部分)の材質によって音色が全然変わること。
そのヘッドの、消耗、あるいはひどいときは破れたりして、その皮を自分で張り替えたりもすること。
恥ずかしながら、この本を読んで初めて知ることも多かったです。

 

というわけで、この本、市民オーケストラ、サークル活動、部活でバイオリン等弦楽器を演奏されている方にも一読をおすすめします。おそらく打楽器奏者、ティンパニストを見る眼、耳?がきっと今までとは変わってくるのではないでしょうか。そして、よりオーケストラ活動、オーケストラで弾くことが楽しくなってくるに違いありません。