皆さんはニスを塗る前のバイオリンを見たことはあるでしょうか?そしてその状態で音を出したことはあるでしょうか?
諸説あると思いますが、ニスがバイオリンの音に対して影響が大きく、ある種のフィルター的な役割をしている。だから白木の状態の音はかなりピーキー(刺激が強い、きつい音)であるという意見をよく聞きます。
実際、弾いてみたことのある方の意見はどうなのでしょう?
私は幸運にもバイオリン製作者の耿 暁鋼(Geng XiaoGang)氏と親しくさせていただいているので、製作中の楽器を見せていただいたり、更には、ニスを塗る前に、指板や駒魂柱、弦その他の部品を取り付けて、試しに音出しをするといった瞬間に立ち会わせていただくことが、しばしばあります。
私のその数回の感触では、むしろ白木の状態のバイオリンは音が柔らかく、すごく軽いタッチで鳴らせるという印象が強いのです。
そして、その後、ニスを塗った後にも同じバイオリンを弾かせていただくのですが、白木の時の印象とはやや変わって、ニス塗り後は、だいたい、白木の状態より締まった音、やや固めの音になるように感じています。
おそらくそれが、またニスの表面が乾燥し、そしてニスが板に浸透していく過程(経年変化)を経て、音はまた徐々に変化していくものと思われます。
急いでバイオリンを作り、ニスも完全に乾かぬうちに出荷して早くお金を貰おうという製作者も中にはいそうですが、じっくりと音づくりを考えてバイオリンを製作するためには、この白木の状態での音のテスト、試奏というのは、良いバイオリンを世に残すため、製作者が納得する音のバイオリンを世に送り出すためには、やはり必要なのではないかと私は思います。
製作者にこのバイオリンの製作ポイントなどをお聞きしました。
いよいよ試奏です