バイオリン、ヴィオラ、チェロ弓の選び方・試奏のとき何を基準に判断したら良いか

2018/03/13
バイオリン弓のフロッグ・鼈甲

バイオリン、ヴィオラ、チェロ弓の上手な選び方

 

試奏して選ぶとき、音で選ぶには何を基準に選んだら良いか

 

皆さんは弓を選ばれる際、どのように選ばれているでしょうか?

 

試される要素としては、

 

重さ、硬さ、バランス、吸い付き、腰がある、飛ばしが上手くいくか、音色・・・・  などがあるでしょうか

 

人によって重視される要素は様々かと思います。もちろん上記の要素も弓選びの基準となる要素ではあります。

 

ここでは、音で判断するためにどうしたら良いかということについてお話したいと思います。

 

まず、皆さんが必ずといって試される「飛ばし」ですが、よほど廉価な弓であったり、あるいは元は名弓であっても、古く消耗してくたびれてしまった、いわゆる「腰が抜けた」弓でない限り、ある程度のクオリティをもった弓であれば、必ず飛ばせます。ただ、そのポイント(位置、場所)が弓によって微妙に異なっているのです。ですから、今まで飛ばしていた場所で飛ばしにくくても、少しずらした位置できちんと弓を飛ばして弾ければ、問題はありません。

ただ、あまりにも飛ぶ位置が異なったり、何度か飛ぶ位置を探ってみても、違和感がある弓、慣れで解決しそうにない弓は避けておいた方が良いと思います。

 

ここで重視していただきたいのは「発音」の良し悪しです。

 

弦をはじくピッチカート奏法を除いては、バイオリンは必ず弓で音を出すからです。弦をはじいた時にはバイオリンはその瞬間に文字通り、はじけたように、即座に音が出ます。これがバイオリンの素の発音の性能です。

 

強くはじけば、強い音が、弱くはじけば弱い音が、しかしタイムラグなく、すぐに音は立ち上がります。

 

これが弓を用いたときにも、自分が弾こうと思った瞬間に、パッと音が立ち上がってくれるかどうか。これが弓の発音性です。

そして大きな音、小さな音、太い弦(バイオリンの場合はG線)、細い弦(バイオリンの場合はE線)でもはじいた時と同じように、意のままに、すぐに音が立ち上がってくれるかどうか。

 

その発音のタイミングが自分が音を出そうと思ったタイミングとずれて、力の加減、圧力、スピードなどを色々と調節しないと上手く音の出る瞬間をコントロールできないとすると、実際に演奏中は、音符を(読んで)、その指令が脳から行き、最後に腕を使って弓を動かしているわけですが、その最後、弓と楽器の間でタイムラグが生じてしまいます。

 

そうすると、思ったように、思ったタイミングで音が出せないわけなので、演奏中のストレスが大きくなります。もちろん、速い曲、速い音符が並ぶ曲ほどそのストレスは増大します。

 

いくら良いバイオリンを持っていても、いくら優れた演奏技術を持っていても、もし、使う弓の性能が貧弱なものであったら、バイオリンの音も、奏者の演奏も、とたんにその低い弓のレベルまで引き下げられてしまうのです。

 

一流の演奏家たちが、皆弓に大金を投じる理由はそこにあります。

 

ですから、実際に試奏をして弓を選ぶ際には、その「発音性能」に最大限に気を使って選ぶという事です。

 

ただ、気を付けなくてはいけないのは、楽器の性能が悪い時、楽器の性能は良いのに調整の状態が悪いときなどは、楽器の側の発音の性能が落ちていますので、そのようなときは弓の発音性について正確に判断することはできません。

 

まず、性能の良い楽器、良く調整された楽器でなければ、弓の発音の性能、すなわち弓の性能は正しく判断できないといえるのです。

 

動画では試奏時にどのような弾き方をすると、弓の発音性、性能、良し悪しが判断できるか、お客様に実践していただいています