イタリア新作そっくり フルヴァーニッシュ 中国製バイオリンの試奏

2017/12/06
イタリア新作のような厚めのニスがぬられた中国製バイオリン

イタリア新作のような厚めの透明感のあるニスがぬられた中国製バイオリン

 

以前のブログで最新の中国製のバイオリンはオールド仕上げが主流で、イタリア新作のような透明なクリアなニスで仕上げた(フルヴァーニッシュ)仕様のものの販売台数はかなり少なくなってきたというお話をしました。

 

その意味ではこの楽器も同様、最近の中国製バイオリンとしては珍しい部類に属するバイオリンです。

 

さらに、このバイオリンの特徴は、イタリア新作のように、ニスをかなり厚めに塗り、そして板の厚みも通常の中国製新作バイオリンよりもやや厚めに作ってあることです。

かなりイタリアンテイストでまとめられています。あるバイオリンの先生は、この楽器を「イタリア新作で150万円と言われても信じてしまうだろう」とおっしゃっていました。

 

ですから、よくありがちなイタリア新作ほどは、音が出しにくい、低音が響かずに高い音ばかりキンキンするということはないのですが、ある程度抵抗感があり、ひょっとしたら全くの初心者というような方にはちょっと扱いにくい、しっかりと楽器を鳴らしにくいタイプかもしれません。

 

逆に申せば、一部の中国製楽器に対し、簡単に音が出過ぎる、響き過ぎるという不満をお持ちの方、しっかりと楽器を鳴らすボーイングを会得されている中上級者の方たちには満足していただける出来ではないかと思います。

 

そして、やはりその厚みのあるニスは、楽器の見た目には大きな影響力があります。

そのたたずまいは、同価格帯のドイツ等の量産品とは比べものにならないほどの風格と言いますか、何とも言えない重量感、充実感があります。

 

またこのようにニスが厚めのバイオリンは、これからのニスの乾燥、板へのニスの浸透によって、反応、レスポンスが向上したり、弱音の表現性が増したりすることが期待できます。

このバイオリンは、ですから、今後、使われ、弾き続けられることによって、もっともっと音が良い方向に変化していくものと思われます。

 

とは言え、「弾きこめ良くなる」といった、イタリア新作の失敗作とこのバイオリンは全くモノが違います。明日から充分に使えるバイオリンであることを、どうぞ試奏動画でお確かめください。